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なるほど、舞台中央部屋の奥に怪しい棚が設置してある。
神棚のようだが見るからに安っぽい。お守りやら札やらインドの象の置物やら
とにかく様々なご利益のありそうなものが一箇所に並べ立てられている。
清美 私もずっと気になってた。なんなの一体?いよいよ怪しい宗教?!
士郎 よくぞ聞いてくれた。これはな・・・・・・どうだ、かっこいいだろ。
源宗 もったいぶらずに何なのかだけ説明しろ。
士郎 そう慌てるな。これはな、名づけて「宝くじ専用当選祈願神棚」だ!!!
清美 ドラえもんの道具みたいなネーミングセンスね。
源宗 要するにお前が勝手に作った宝くじを置いておく棚だな。
士郎 もっと感動しろよお前ら・・・。まあいいや、そんな奴らには1銭だって分けてやんねーからな。
景子 わざわざこんなのまでつくったんだ。
士郎 ああ、本当は神棚とかに置いておくと当たるっていうだろ。うちには神棚なんてないからな、
こうして手作りで作ったわけだ。
清美 ・・・本当、ヒマ人なのね。ぷー太郎って。
源宗 で、今年は一体何枚買ったんだ。
士郎、指を両手で1本と5本出す。
源宗 60枚か。お前にしては控えめだな。
景子 ちがう。
清美 ま、まさか600枚?!どこの士郎にそんなお金が・・・?
景子 ・・・・・・150枚。
源宗 ・・・。
清美 ・・・。
源宗・清美 なんだ、普通だな。
士郎 なんなんだよ、おまえらは!
源宗 ま、どうせ今年も例年どおり、300円が15枚当たるだけだろうな。
清美 そうね、しかしなんでそう無駄な浪費を毎年毎年繰り返すのかしらねぇ。
景子、せっかくあんたがバカスカかせいでも全部こいつに使いこまれることになるわよ、このままじゃ。
士郎 なんでお前ら二人はそうやって夢がないんだ!!
今年は去年までとは違うんだから。絶対3億当たるんだぞ!!
源宗 なんの根拠があるんだ。
士郎 よくぞ聞いてくれた。いいか、今までの俺はどこで宝くじを買っていたかというと、
そこの駅前の売り場だ。だがここは過去一度も当たりくじが出ていない。こんなとこで
買ってたんじゃいつまでたっても当たるはずはない。そこで、今年は!
過去のデータを綿密に調べて当たりが出ている売り場ベスト3をはじき出し、
そこでそれぞれ50枚づつ買った超厳選された宝くじなのだ!これで当たりがないわけがない!!
源宗 なるほど、それでそのベスト3の売り場ってのはどこなんだ。
士郎 これがなかなか骨が折れた・・・。まず第3位は駒込の駅前売り場。これはすぐに買いにいけた。
そして第2位が埼玉の郊外、これもまあ日帰りで行けた。
清美 日帰りでって、じゃあまさか・・・。
士郎 そう、その過去最も高額のくじが発売されている、1等が4回も出ている売り場とは・・・!!!
清美 びっくりしたわよね。ある日携帯にかけたら突然「いま石川県」って言うんだもん。
源宗 いしかわ〜?!!
清美 旅費いくらよ。
源宗 その旅費のぶん駅前で宝くじ買ったほうがまだ当選確率が高い気がするがな。
士郎 だまれだまれ!この労力と金をかけた分、絶対に今年は3億当たるんだ!!
これぞ男のロマン!・・・そう、宝くじこそ男のロマンだ!!!
清美 ・・・あきれた。
源宗 でもまあ、宝くじなんてある意味夢を買うようなものだからな。
景子 ねえねえ、じゃあさ。みんなはもし、宝くじで3億円当たったら何に使う?
源宗 定番の質問だな。
清美 ばっかみたい。私はそんなこと考えられないわね。実際宝くじなんて無駄なもの買ってないんだし。
景子 いいじゃない。もしも、てことで。
清美 考えられないわ。私は捕らぬ狸は数えない主義だもの。そういう景子は?
景子 んー、そうだな。とりあえず・・・、プラダのリュックと、あとジバンシーの口紅と・・・。
士郎 馬鹿かお前は。3億だぞ。そんなリュックや口紅が一体いくつ買えると思ってるんだ。
景子 えー、でも・・・。
士郎 よし、わかった。じゃあ俺が3億当たった暁にはそのプラモのリュックでもチンパンジーの口紅でも
なんでも買ってやろう。
景子 本当?!じゃあ約束よ。・・・それで源宗くんは?
源宗 ・・・そうだな。もし大金が手に入ったら、前々から欲しいものはある。
景子 なになに???
源宗 ・・・名刀「麒麟璽」だ。
景子 きりんじ???・・・なにそれ?
清美 出た出た!源宗の日本刀マニア!!
士郎 日本刀?!お前、そんなあぶねーものコレクションしてたのか?
源宗 というか、いまも持っているんだがな。
源宗、鞄から突然日本刀を取り出す。
3人 うわああああっ!!
源宗 今もっているこれはな、通販で8万で手に入れた「菊一文字」なんだがな。
こいつもなかなか切れ味も良く、優れた名刀なんだが・・・
士郎 いいからそれを早くしまえ!!真剣だろそれ!
景子 いやぁっ!こっち向けないでー!!
清美 ていうか銃刀法違反。
源宗 これもボーナスはたいて買ったものだからなかなか愛着があってな。常に持ち歩いているのだが・・・。
そもそも名刀を見分けるポイントというのはな・・・。(刀についてのうんちくを語り出す)
清美 あーあ、始まった。
士郎 いいから刀しまえ!!
源宗 (日本刀を振り回しながら)この風を切るような音!これこそが名刀の証!
3人 だああああっ!!
景子 お願いだからもうしまってぇ!!!
源宗 仕方ないな。せっかくもっと見せたかったのだが。(刀をさやにもどす)
士郎 こんな狭苦しいアパートで日本刀振り回すな!
景子 そ、それで、いま源宗くんがほしい剣っていうのは?
源宗 そう、その名刀麒麟璽はな、この世に3本しか存在しない幻の名剣でな、時価1億と言われている。
残念だが俺のような世間一般のサラリーマンにはとても手の届かない名剣なのだ。
士郎 でも3億あればそれが買えるな。
源宗 !!
士郎 1本1億だったら3本買えるか。ちょうど3本あるんだろ。ははは。
源宗 ・・・麒麟璽が3本・・・・・・(遠い目)
清美 ちょっと源宗、あなたまで何夢みてんのよ。
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