あとがき。


 吉田松陰のキャラクターはもともとワタシが大学時代に上演した別の脚本から頂いたものです。
わがままで強気な松陰先生のキャラがワタシのハマり役として部員の皆様から大変好評を頂いたものでした。
その松陰先生が黒船に無理やり乗り込もうとした、という史実をもとに書いたのがこの脚本です。

 とはいっても実際にあったのは松陰と重輔が黒船での密航に失敗し投獄されたという事実だけで
そこから先は完璧なフィクションです。(当然)

 松陰は何度も改名をしているためこのころは多分松陰とは名乗っていなかったでしょうし
金子重輔に関しては調べてみたもののあまり詳しいことはわかりません。
(余談ですが重輔はこの事件で投獄された後、その獄中で亡くなってしまったそうです。
どちらにしても幸薄いかわいそうな人物であったことには変わりはないようですが・・・)
ましてや2人が黒船の異人と出会っていたなんて絶対にありえません。
本当に筆者は大学で4年間歴史を勉強していたのかと疑ってしまうほど、
おそらく相当な歴史的矛盾が潜んでいる作り話のような気がします。
・・・まったく、恩師の先生方に申し訳が立ちません。

 (余談ですが一応勉強していたらしいことを付け加えますと、『鎖国』『開国』という言葉は
近年の歴史家達が言い始めた呼び方で当時は使われていなかったそうです。そのため
この脚本でもそういった言葉は使っていません。・・・だから何だ、ってなカンジですが)

 そして今回も自分の音楽の趣味を取り入れて書きました。
タイトルである『何かが海をやってくる』やオープニングテーマの『どんたく』などは
サディスティック・ミカ・バンドの『黒船』というアルバムから頂いております。
この話はアルバム『黒船』の世界をかなり取り入れたものになっているので
興味のある方はぜひこの名盤を聴いてみてください。
なおエンディングテーマの『さよならアメリカ さよならニッポン』だけははっぴいえんどの曲です。

 何より愛すべき松陰先生を主役に、歴史モノの脚本が書けたことを嬉しく思います。
ワタシのつくりあげた松陰先生を愛してくれた部活時代の仲間達、一緒に歴史を勉強した仲間達、
家族や旦那さま、そして読んでくださったあなたへ心からの感謝を捧げます。



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